フェアトレードは寄附ではない。
途上国の人たちに支払うお金は商品の代金であり、賃金である事が重要だ。様々な組織による海外への援助に関して「援助慣れ」という問題がある。寄付などで援助をしてしまうと人びとに自分たち自身の力で現状を変えようという気持ちがなくなり自立心を摘んでしまうケースがあるのだという。
あまり知られていないがフェアトレードには「提携型」と「認証型」ふたつの種類がある。
両者は同じ「フェアトレード」という言葉を使っているが全く別物だ。
提携型のフェアトレードは生産者を支援団体が直接資金的にも技術的にも支援し、作られた商品を直接買い取り、日本など先進国で販売する形のフェ アトレードのことを言う。日本ではこちらのフェアトレードの方が一般的で、歴史も長い。
一方、認証型のフェアトレードは、認証ラベルを商品に付けるタイプのフェアトレードのこと。
フェアトレードの認証団体が、そこで作った生産・労働基準に従って生産され労働者の雇用条件が守られた 農園なり生産施設を認証団体が認証することで、認証ラベルの使用権が与えられ、商品にラベルを付けて販売することができるようになる。我々が扱うコーヒーもこの認証型だ。
認証型は、その仕組みは実はとても複雑なのだが、商品にラベルが付いていることで、フェアト レードであることが一目瞭然でわかりやすい。認証型には認証組織というものがあり、そこがフェアトレードの認証を行ったり、販売者や輸入者などの業者にライセンスを与えたりして、認証ラベルによるフェアトレードを成り立たせている。
提携型と認証型のフェアトレードの最大の違いは、「生産者にお金を支払うか、彼らからお金をもらうか」の違いだ。提携型の方では、自分たちが支援する農民なり、作業所なりといったところから、直接商品を買い取る。反面、認証型では、生産者(農園や組合)からお 金をとって、フェアトレードの認証を行う。商品の買い取りはしないし、買い取り量(数)の保証もしない。買い取りは、彼らが「バイヤー」と呼んでいる業者 が行い、バイヤーがフェアトレード価格で生産者から商品を買い取る。バイヤーになるには、認証組織からライセンスを得なければならない。ライセンス料の支払いがここで生じる。輸出業者や卸業者のライセンスもある。
とにかく消費者の手に直接渡る最終商品の形になるまでは、流通のあらゆる段階でフェアトレード商品の流通に関わる業者にライセンスの取得が求められる。そして、それぞれにライセンス料の支払いが、フェアトレード認証団体から求められる。ここまで説明して気づく人も多いと思うが、フェアトレード認証組織は商品の買い取りにも販売にも、全く関わっていない。これが良いか悪いかの意見は別の問題なので割愛するが、公平性を保つ反面、後述する急激な相場の変動などに対応出来ないデメリットがあるのは事実だ。 |