株式会社ヒロコーヒー採用情報

株式会社ヒロコーヒー外食アワード2015受賞

農園紀行 Single estate
コスタリカではこの言葉をよく耳にする。
「Pura vida (プラ ヴィダ)」。
「純粋な人生」とでも訳せば良いだろうか。
「Pura vida? (元気かい)」と聞かれたら、「Pura vida! (元気だよ)」と返す。
人生を純粋に楽しもうという言葉をかけ合うコスタリカ人たちを表現するのに これほどふさわしい言葉はないだろう。
そんなコスタリカには随分前から皆さんに紹介しているコーヒー農園がある。
アキアレスの名で紹介しているこの農園の中にもはたしてこの"Pura Vida"が溢れていた。
コスタリカのどの町よりも。
コスタリカの首都サンホセから東へ約60キロメートル。
標高850〜1,300mの山間に広がる924ヘクタールの広大な敷地内には、 コーヒー植栽672ヘクタール(かつては725Haあったものを減らしたそうだ)、
自然保護区104ヘクタールを含み、農園の至る所でシェイドツリーが見られる。
  コスタリカの地図
 

環境に配慮したサステイナブルコーヒーの中でもその要求が多岐にわたるレインフォレスト・アライアンス(以下RA)の認証を取得しているだけにシェイドツリーの植栽にもあるがままに任せた自然の力強さと同時に、何か整然としたものを感じる。

管理が行き届いているのだろう。

 

RA認証マーク

力強く育つシェードグロウンツリー
 

たわわに実ったコーヒーの実
  訪問時はちょうど収穫の初期で結実したコーヒーを見る事が出来たがそのたわわな実の付き具合には驚かされた。
とにかく枝いっぱいに実ったコーヒーの実、実、実。
ただ水をやり、肥料をやってではこうはならない。
何しろ9,240,000uの広さである。甲子園球場240個分の敷地に植えられたコーヒーの木を管理するのは相当な努力が必要だろう。
広大な緑地を完全にコントロール出来ているのは、政府主導のCO2排出コントロールプロジェクトに協力している事でも証明される。
具体的に農園内の植物がどれだけCO2を吸収しているかを測定し、排出権の取引を諸外国と行うのだと言う。
カーボンコントロールを行うコーヒー農園とは恐れ入った。これぞ21世紀型シェイドグロウンの形かもしれない。
農園の内の高台からは収穫最盛期になると、真っ赤に色づいたコーヒーの実がシェードツリーの様々なグリーンのグラデーションの隙間から、ちらちらとこぼれる様に見えてとても綺麗だと教えられた。
ロケーションが似ている吉野山の桜をチェリーの赤に置き換えてイメージしてみる。
さぞかし壮観だろう。
  シェードグロウンの風景

RA認証の要件にはシェイド以外にも様々なものがあるが、代表的なものは「水の保全」と「労働環境の整備」だ。
水に関しては川に土壌や肥料が流れ出すのを防いだり、作業用水や排水方法に関してかなり細かい取り決めがある。
アキアレスでもRAの要求で様々な河川、水源にはそれぞれ名前を付けて保全されており、管理者を専任していた。
RAの担当者に話を聞くと、とにかく彼はRA関連の仕事しかしていないとの事。
それ以外の話になると「それは他の担当に聞いてくれ」のオンパレード。
本当に他の事は全く分からないらしい。
これだけの規模を維持する為のノウハウがこの完全分業なのかもしれない。
とにかくRA担当の彼はコーヒーの事を聞いても答えてくれないが自分の管理する水源に来るととたんに雄弁になる。
何やら微笑ましい。勧められるまま水源の湧き水を飲ませてもらう。
火山質の土壌で磨かれた、この軟水は農園内での飲料水にも使用されているそうだ。

 

園内の湧き水は全部で14カ所
そこやかしこにある印象だ
 
シェイドグロウンの効用に関しては様々な点があげられる。
コーヒーの木への直射忌避、土壌への養分還元、生物多様性の保護等があるが、ここでは、それ以外の理由も聞いた。
「労働者の為さ。木陰があると休めるだろう?」
もちろん、他のシェイド栽培を取り入れている農園でも、それは理由の一つであり、聞けばそう答えてくれるのだろうが、ここの管理者は進んで私に説明してくれた
農園である以上コーヒーが大事なのは当然だが、同様に大事なものが彼らにはハッキリしている。
 

授業中にお邪魔したが素晴らしい笑顔で歓迎してくれた
 

スーパーの品揃えは麓のスーパーと遜色なかった。
  アキアレス農園には約1,200名が居住している。
農園内に労働者向けの住居を構えている所は多いが、そのほとんどは日本人からすると住居というより小屋に近い。
屋根があり壁と土間がコンクリートであればそれはかなり恵まれている。
そんな環境で暮らす労働者によってコーヒーは支えられている。これが現実だ。
案内された場所には立派な町があった。小屋が並んでいるのではない。
麓の町と遜色ない家々が並び、活気に溢れている。
カラフルな教会がある。子ども達の声が響く学校がある。
中心には生鮮品や生活用品を売るスーパーまである。
 
ここで仕事に従事する人間は全てこのコミュニティに居住する。
安価で土地を譲り永住出来る場所を与え、最低限の(といっても他の地域の労働者とは雲泥の差だが)生活を保障するのだという。
町がまるごとひとつのコミュニティなのだ。
そこで生活する人たちの表情は明るく非常にフレンドリーだ。
家々に目をやると諸外国ではつきものの窓にはめられた防犯の鉄さくの類いが見当たらない。
聞くと「そんなもの必要ないだろ。」と当然の様に答える。
これでは玄関の鍵さえ付いているか怪しい。

農園をひと通り案内してもらい、ふと気づいた事がある。
普通は農園を訪問するとコーヒーの説明ばかり受けるのだが(当然だが)
ここアキアレスではコーヒーの説明をせずに水場ばかり案内する人間や、このコミュニティこそ見てほしいと町中をグルグル回って見せる人間もいる
とても誇らしげに。
 

シーズンの始めで少ないながらも収穫が始まっていた
 

彼らにとってのアキアレス農園はこの町全てを指すのだ。
コーヒーは当然、カップになり美味しく飲む事で完結するものだが、こういう人々が関わっている事、このコーヒーが生まれた町を紹介する事も私の使命だと彼らの笑顔が教えてくれた。
コーヒーと共存し、 "Pura Vida"の精神で人生を謳歌する彼らが発行しているアキアレス農園の活動報告書はこの様な言葉で結ばれている。

We improved day by day, week by week, year by year and crop by crop.

私たちは日に日に、週毎に、月毎に、そしてクロップ(収穫)ごとに、成長をし続けています。
 

農園の管理人達と。
Pura vida! また合いましょう!
ヒロコーヒー
焙煎責任者 山本光弘